週刊東洋経済2023年11月11日号「巻頭特集 解体!ジャニーズ経済圏」 事業承継税制 経営承継円滑化法 | なむら経営コンサルタント

旧ジャニーズ事務所株を受け継いだ時に使用した事業承継税制とは

事業承継

週刊東洋経済2023年11月11日号に「巻頭特集 解体!ジャニーズ経済圏」が特集されています。それによると、『後継者の藤島ジェリー景子氏はスマイルアップの100%株主だが、同株の価値は1000億以上あり、本来なら数百億円の相続税を支払わなければならないところ事業承継税制の「特性措置」を使用し2025年5月まで代表を続ければ、ジェリー氏は税金を払わなくてもよいことになる。』という内容の記事があります。そこで、事業承継税制とは何か?。最新の情報に基づき、経営承継円滑化法の要点をまとめます。なお、この法律は、中小企業における事業承継を円滑に進めるために、税制、民法、金融の各方面から支援するものです。また、特例承継計画には「なむら経営コンサルタント」のような認定経営革新等支援機関による指導・助言内容を記載する項目がありますし、雇用維持条件が未達だった場合にも助言・指導をするという重要な役割があります。

主な支援策

  • 事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予・免除):
    • 特例措置(2027年12月末まで対象期間): 非上場株式等の贈与・相続にかかる税額の100%が納税猶予・免除の対象となります。対象となる後継者の人数制限が緩和され、親族外承継も対象です。雇用確保要件も大幅に見直され、経営悪化時などには納税猶予が継続可能となる場合があります。なお、申請は2026年度末までとなります。
    • 一般措置: こちらも納税猶予・免除の制度ですが、特例措置に比べて対象株式数や後継者の要件などが限定されています。
    • 個人の事業用資産: 個人の事業主が事業用資産を後継者に贈与・相続した場合も、一定の要件のもと納税猶予・免除が適用されます。
  • 遺留分に関する民法の特例:
    • 除外合意: 後継者が先代経営者から贈与された自社株式等を、遺留分算定の基礎となる財産から除外する合意ができます。これにより、後継者への株式集中を円滑化し、相続後の紛争を防止します。
    • 固定合意: 生前贈与された自社株式等の評価額を合意時の時価で固定できます。後継者の経営努力による株価上昇分は遺留分の対象外となり、後継者の経営意欲を阻害しません。
    • これらの特例の適用には、推定相続人全員と後継者の合意、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可が必要です。
  • 金融支援:
    • 都道府県知事の認定を受けた中小企業や後継者に対して、事業承継に必要な資金調達を支援するため、信用保証の特例や日本政策金融公庫等の融資制度における特例措置が設けられています。M&Aによる他社の株式や事業用資産の買収資金も対象となる場合があります。
  • 所在不明株主に関する会社法の特例:
    • 経営承継円滑化法の認定を受けた中小企業は、所在不明株主の株式を、通常の会社法の手続きよりも簡略な手続きで買い取ることが可能になります。これにより、事業承継時の株式集約を円滑に進めることができます。

利用上の注意点

  • 事業承継税制は納税の猶予・免除制度ですが、一定の要件を満たさなくなった場合(後継者が代表権を失った、株式を譲渡・廃業した場合など)には、猶予されていた税金に利息を加えて納付する必要があります。
  • 特例措置の対象期間は2027年12月31日までの贈与・相続が対象です。
  • 制度の適用には、事前の計画策定や都道府県知事の認定など、所定の手続きが必要です。
  • 税制や民法の特例は複雑な要件が定められているため、専門家(税理士、弁護士など)の支援を受けながら進めることが推奨されます。
  • 最新の情報や詳細な要件については、中小企業庁や国税庁のウェブサイト等で確認するようにしてください。

近年の動向

近年、経営承継円滑化法は、後継者不足や事業承継の多様化に対応するため、制度の拡充や要件の緩和が進んでいます。特に、特例承継計画の提出期限や、雇用維持要件の見直しなどが重要なポイントとなっています。

事業承継を検討する際には、これらの最新情報を踏まえ、自社の状況に合った最適な承継プランを検討することが重要です。